改正出入国管理法が2018年12月8日未明の参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立しました。また同年12月25日、「特定技能」に関する方針が閣議決定されました。

この法案(改正案)は非常に物議を醸していますので、私も法案の原文に直接あたって理解したいと思って探しましたが、なかなか探すのに苦労しています。どうしてこれほど重要な法案の概要をわかりやすくまとめた情報が見つからないのでしょうか。メディアの方々、仕事していますか。

法案の背景

外国人労働力に関する現状

現在の外国人労働力に関する内閣府の資料です(平成30年2月20日付)。2017年時点で128万人に達する勢いであり、近年は年率10%以上増えています。

外国人労働者の内訳

専門的・技術的分野の在留資格が 23.8万人、身分に基づく在留資格が45.9万人、技能実習生が25.8万人、特定活動が2.6万人、資格外活動(留学生など)が29.7万人となっています。

なお、現在の在留資格には以下の3つの区分があると報道されます。身分に基づく在留と特定活動は除外されているようです。

  • 高度外国人材:教授、SE、経営者など
  • 技能実習生:働きながら技術習得する一般労働者
  • 留学生:アルバイトに従事する一般労働者

技能実習制度の機能不全

技能実習制度がうまく機能していなかった面がありました。技能実習制度は1993年に開始されましたが、当時の眼目は「開発途上国などの外国人を日本の企業や団体が一定期間に限り受入れ、OJTを通じて技能移転する」というものでした。

しかし、実際の運用においては「体のいい低賃金労働者」として活用されたり、長時間労働や賃金未払いなどの問題が発生するなどが指摘されていました。こうした事情もあり、技能実習生が逃亡・失踪する事例も多く、対策が求められていました。

人手不足

最も公式に説明されている外国人受入拡大の理由は、人手不足です。外国人材の増加も確かに短期的な解の1つとは言えそうです。

なお、人手不足の本質的な原因は以下のようなものがあります。

1つには、労働人口が緩やかに減少している事実があります。

また、設備投資の抑制により生産性が上がりきっていない側面もあります。

このほか、制度上の問題もあります。現在の日本では、制度上、所定労働時間を超過した場合の賃金(いわゆる残業代)は割増賃金となり、企業としての人件費が高くつきます。

また、労働法制が厳格になり、経営陣が従業員に一定以上の残業や休日出勤を求めると法令違反となってしまう状況も一因です。

法案の概要

改正入管法は2019年4月に施行予定です。

新たな在留資格を新設する

今回の制度改正では、従来の在留資格に加えて、「特定技能1号」および「特定技能2号」の在留資格を新設します。


出所:日経新聞

全体の位置づけとしては、技能の水準が高く定住期間の長い順番に並べると下記のようになります(特定活動は除く)。

  • 高度外国人材
  • 特定技能2号
  • 特定技能1号
  • 技能実習生
  • 留学生

特定技能1号

特定技能1号は「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人を対象とします。最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば得られます。在留期間は通算5年で、家族の帯同は認めません。従来の技能実習制度で受け入れていた農業・漁業・建設などに加え、介護・宿泊・外食などを加えた全14業種での受け入れを想定しています。

3年以上の経験がある技能実習生は無試験で「特定技能1号」に移行できる制度のようです。

1号での受け入れ人数は5年間で最大34万5150人を想定します。受け入れ対象国は当面は9カ国(ベトナム、フィリピン、カンボジア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴル)とします。

受け入れの審査にあたる試験として、日常会話レベルの日本語試験と、業務ごとの技能試験を実施します。ただし、技能試験の実施は2019年4月時点で「介護」「宿泊」「外食」の3分野のみであるため、当面は技能実習生からの無試験移行が中心になるとみられます。

転職は同一業務に限り可能、兼業は不可とします。

特定技能2号

特定技能2号は「さらに高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人」が対象です。1~3年ごとなどの期間の更新ができます。更新時の審査を通過すれば更新回数に制限はなく、事実上の永住も可能となり、配偶者や子どもなどの家族の帯同も認めます。

「熟練」の定義は、今後省令で決定すると定められています。

また、2号へ移行するための試験などは、1号による在留者数などを踏まえて、制度開始から2年後に「建設」および「造船・舶用」の2業種で本格導入する予定です。他の業種についてはまだ決まっていません。

導入に関する施策

2019年4月には法務省入国管理局を改組し、受け入れや在留管理を一元的に担う「出入国在留管理庁」を設置します。長尾敬議員のブログでも取り上げられていますが、現行の出入国管理には大きな課題がありますから、非常に重要な取組です。

とある意図を持った外国人が技能実習生として入国し、その後失踪。 基本的に警察は、犯罪を取り締まる組織ですから犯罪が起きなければ捜査はしません。 失踪届けが出て来れば対処しますが、技能実習制度には実習生への奴隷とも言われる劣悪な扱いを雇用主が強いて失踪するといった問題も一定割合あり、雇用主が届けをしないという場合ある。 ここ数年で3万人以上の外国人失踪者がどこへ行ったかわからない状態なのです。 これは前出の内閣委員会で質疑をしたことです。

とある意図を持った外国人が留学ビザで入国。 病院へ行き癌だと診断され、高額療養費制度を使い、治療を受け数千万かかる医療費を60万程度で済ませ完治し、その後すぐに帰国した。 また、こんな事例も。 日本国内の企業に勤め単身赴任で来日している外国人。 その妻が妊娠した。 本国で出産すると医療費がかかるので妻を扶養家族にした。 日本に呼び寄せ出産し、出産養育一時金42万円も受け取りすぐに帰国した。

とある意図を持った外国人が観光ビザで入国。 自分は難民だと難民申請をしてそのまま在留。 その結果、在留許可がおりなかったが再申請をしてそのまま在留。 在留申請中は就業も可能(現在は一部制限)。

このほか、外国人の日本語習得支援や生活相談窓口の設置など総合的対応策も作ります。

制度の見直し

法施行の2年後をめどに制度を見直し、経済情勢の変化や運用を通じた課題などを反映します。

法案に関する懸念と批判

法案には様々な観点から懸念・批判があります。政府および国会には、これらの懸念を払拭する施策を誠実に立案し、実行する責任があります。

外国人受入に伴って公費負担が増える

行政サービスコストの増加

日常会話レベルの会話では行政手続に不安があります。このため、外国人の居住者比率が極めて高い新宿区などで「多文化共生施設」のような例があります。

ただ、こうした施設の運営費用は住民の税金から支出されますから、住民にとって「差し引きでプラスなのか」という観点で検証する必要があります。

さらに、施設の職員には様々な外国語を操る人材を当てなければなりません。設置したくても人員の確保に苦労する自治体も出てくるでしょう。

治安維持コストの増加

外国人は働き手であると同時に社会の構成員となります。残念なことですが、統計上、外国人の犯罪率は日本人と比べて大幅に高いのが現実です。

この結果、入国管理・警察・消防・救急・裁判・刑務所などのコスト増加が見込まれます。上記の費用を負担するのは日本の納税者であることを忘れてはなりません。行政コストと同様に、国民にとって「差し引きでプラスなのか」という観点で検証する必要があります。

また、尖閣諸島や沖縄県に対する領土的野心を露わにし、かつ世界中で反日プロパガンダを続けている中国共産党が支配する支那(中国)を受け入れ対象国とした点には治安・国防の観点から懸念を示す識者が続出しています。

健康保険料の負担増加

現行の健康保険制度には不正利用や制度の趣旨に反する利用が可能な「セキュリティホール」が多く、これを早急に埋めることが求められています。以下に例をあげます。

国民健康保険の加入資格

国民健康保険への加入要件は従来「滞在1年以上」でしたが、民主党政権時代の2012年に「滞在3ヶ月以上」に短縮されました。しかも、在留していれば親族まで利用できる制度となっています。これを利用して外国人が高額の医療を受けるために入国する事例が相次いでいるようです。

収入額や扶養状況に関する書類審査などはあるようですが、外国の書類を提出された現場職員が、その真偽を判定することはきわめて難しく、脆弱な制度となっています。

海外療養費制度

海外で受けた医療に対して医療費を支給する制度があります。本来は海外出張や被保険者の子供が留学している場合などを想定した制度ですが、加入者の構成比で2.8%にすぎない外国人の利用率が金額ベースで35.4%に及びます。

出産一時金

健康保険では、出産一時金として42万円が支払われます。この制度趣旨は、出産時に要する医療費を補填するというものです。ところが、外国人が自国の病院で出産した場合にも適用される状況になっており、出産で「儲かってしまう」という矛盾が発生しています。

移民政策との批判

受け入れ人数の算出根拠が示されない

受け入れ人数の算出根拠が示されておらず、際限なき移民受け入れにつながりかねないことが批判の対象となっています。

資格の定義が不明瞭

「熟練」の定義は、今後省令で決定すると定められています。つまり、法務大臣が変わった場合になし崩しになってしまうリスクを抱えていることになります。

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産経ニュース(20181225日)